こんな疑問を解決!
- 株式投資のファンダメンタルズ分析は何をすればいいの?
- 決算書や株価指標の分析方法は?
- ファンダメンタルズで株価を予想する方法は?
株式投資では、将来値上がりが期待できる銘柄を探して投資をしていきます。
ではその際に、具体的にどのようなことを分析していけばいいのでしょうか?
今回は、株式投資をする上で必須スキルと言える、企業の財務状況や経営状況を分析し、将来的に株価がどうなるのかを予想する「ファンダメンタルズ分析」について解説をします。
この記事で分かりやすく解説をしていきますので、是非、マスターしましょう。

鈴木 拓也
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
- 東京工業大学大学院修士課程修了(工学修士)
- 株式会社三井住友銀行に就職(2012年)、新宿西口法人営業部を経て、本店・市場営業部門に異動。為替ディーラー業務を担当し、香港支店に2年半勤務
- 株式会社フィンテラス代表取締役(2018年~)
Contents
ファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ分析とは、各企業の財務状況や経営状況を分析して企業価値を求め、現在の株価が企業価値に対して割安なのか割高なのかを分析する手法のことです。
また、各企業の財務状況といった「ミクロ」の視点以外で、グローバル経済の流れ、金融政策の動き、為替マーケットの動向などの「マクロ」を分析することもファンダメンタルズ分析に該当します。

ちなみに、ファンダメンタルズ分析以外の手法としては、テクニカル分析があります。テクニカル分析とは、過去の株価の推移をグラフ化したチャートを使って将来の株価を予想する方法です。現在の株価のトレンド状況を分析したり、相場の過熱感で買われ過ぎ・売られ過ぎを分析することができます。
株価を予想する手法
- ファンダメンタルズ分析:各企業の財務状況や経営状況を分析
- テクニカル分析:チャートを分析
今回の記事では、ファンダメンタルズ分析のやり方として以下2つを解説していきます。
株式投資のファンダメンタルズ分析
- 決算書の分析
- 株価指標の分析
決算書を分析する
決算書とは財務諸表とも呼ばれ、会社の経営成績や財務状態などをまとめた書類のことで、上場企業は開示が義務付けられています。
決算書には、「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本等変動計算書」、「キャッシュ・フロー計算書」などがあります。
株式投資家であれば、特に以下2つについて分析をしていく必要があります。
- 損益計算書
- 貸借対照表
損益計算書の仕組み
損益計算書は、一定期間(1年や3カ月など)で企業がどれだけ売り上げを上げ、費用を使って、最終的にいくら利益が残っているのかを示す表です。
損益計算書(Profit & Loss Statement)は略してP/Lとも呼ばれ、次の3つの要素から成り立ちます。

- 収益:いくら売り上げたか
- 利益:いくら利益が残ったか
- 費用:いくら費用を使ったか
ただ、損益計算書では、単に売上から全体の費用を引いて利益を求めるのではなく、費用をいくつかの種類に分け、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引き前純利益」「純利益」に分けています。

最初は慣れないかもしれませんが、決算書は全てこの形になっているので、適応していきましょう。

下のタブを選択して、各項目の意味を理解しましょう。

売上高
売上高は会社が本業で稼いだ収益です。
売上は利益を生み出す源泉であり、売上高が伸びることで利益も伸びる可能性が高まります。
逆に、売上高が小さい企業や、減っている企業は、費用削減をどれだけしようと赤字になるリスクが高く、株価も伸び悩みます。

売上総利益
売上総利益は、売上高から原価を引いたもので「粗利」とも呼ばれます。
原価とは、小売業なら仕入れ費用、製造業なら材料費用などです。

営業利益
営業利益は売上高から原価、販売費・一般管理費を引いたもので、本業により得た利益を表します。

経常利益
経常利益は、営業利益から本業以外で発生した利息・不動産収入・為替差益などを加味して得た利益です。
経常利益は、会社が通常の活動で上げている利益とも言えます。

税引き前純利益
税引き前純利益とは、特殊な事情で発生した損益(特別利益・損益)を加味して残った利益です。
例えば、火災や自然災害で発生した損や、本業とは関係ない不動産の売却で得た利益などがこの特別損益です。

純利益
そして、最後に税金を払って手元に残るのが純利益です。
企業はこの純利益を原資として、株主へ還元する配当金に回したり、新規事業に投資をしたりします。
記事:配当金とは?もらえる仕組みや高配当株の探し方を初心者向けに解説
貸借対照表
貸借対照表とは、会社のもつ資産と負債のバランスを示した表で、B/S(Balance Sheetの略)とも呼ばれます。
貸借対照表は、資金の調達方法(右側)を示す「負債」と「純資産」、調達した資金の使い道(左側)を示す「資産」の3つに分かれます。
簡単に説明すると、負債は返済の必要がある資金で、銀行からの借り入れなどです。
一方、純資産は返済の必要が無い資金で、株主からの出資や会社が稼いだ利益などが該当します。
そして、資産は調達した資金がどのように使われているかを示したものであり、商品、建物、土地などがあります。
それではそれぞれの要素を詳しく見ていきましょう。
資産の部
資産には、1年以内に現金化されるか、正常循環基準(通常の営業活動で使用するもの)に該当する「流動資産」と、1年超の「固定資産」に分かれます。
主な勘定科目は以下の通りです。
資産 | 流動資産 | |
---|---|---|
現金 | ||
受取手形 | ||
売掛金 | ||
商品 | ||
固定資産 | ||
(1)[有形固定資産] 土地、建物 | ||
(2)[無形固定資産] 特許権、借地権 | ||
(3)[投資その他の資産] 投資有価証券 |
負債の部
負債の部も、1年以内に返済される、または正常循環基準に該当する「流動負債」と、1年超で返済される「固定負債」に分かれます。
それぞれの主な勘定項目は以下の通りです。
負債 | 流動負債 | |
---|---|---|
支払手形 | ||
買掛金 | ||
短期借入金 | ||
未払金 | ||
固定負債 | ||
長期借入金 | ||
社債 | ||
長期未払金 |
純資産の部
純資産の部は、株主からの出資金と、会社が営業活動で稼ぎ手元に残った利益が掲載される場所です。
大きな区分けで説明すると、株主が出資した「資本金」、利益が蓄積される「利益剰余金」、それ以外の「資本剰余金」の3つに分けられます。
決算書を見る方法
決算書を見る方法は、各会社のホームページの「IR情報」にて、「有価証券報告書」や「決算短信」を確認するのが確実です。

「IR」とは、企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動を言いますよ。
また、それ以外の方法では簡易的にまとめられた「会社四季報」を使用するのも良いでしょう。

会社四季報は紙媒体を買うにしても、ネットで閲覧するにしても有料ですが、SBI証券で口座開設をしている人であれば、無料で会社四季報の情報が見られるのでおすすめです。
株価指標を分析する
決算書で会社の財務状況や経営状況は分析できますが、今現在の株価が割安なのか割高なのかは判断できません。
例えば、貸借対照表で会社の健全性が確認され、損益計算書で着実に売り上げ・利益を伸ばしている企業でも、実は株価がすでに割高であり、これ以上の値上がりは期待できないかもしれません。
そこで、企業の実態価値に比べて今の株価が割安なのか、割高なのかを判断する方法が「株価指標」です。
代表的な株価指標は以下の3つです。
株価指標
- PER
- PBR
- 配当利回り
PERは予想純利益に対して株価の割安・割高を図る
PERは現在の株価が1株あたり純利益と比べて割安なのか割高なのかを判断する指標で、以下の式で求まります。

PER(倍)=現在の株価÷1株当たり純利益
PERは15倍前後が標準的な水準とされており、20倍以上になれば割高、10倍未満であれば割安と判断できます。

PBRは純資産に対して株価の割安・割高を図る
PBRは現在の株価が1株当たり純資産と比べて割安なのか割高なのかを判断する指標で、以下の式で求まります。

PBR(倍)=現在の株価÷1株当たり純資産
PBRは1倍が標準的な水準であり、1倍超が割高、1倍未満であれば割安と判断できます。

PERとPBRは非常に奥が深いので、更に詳しく学びたい人は以下の記事をご覧ください。
記事:PERとPBRとは?意味と調べ方を株初心者にやさしく解説
配当利回りは株主への還元率を図る
配当利回りは、現在の株価で株を買った場合、配当金で年間どれくらいの割合の現金を得られるのかを示したもので、以下の式で計算されます。

配当利回り(%)=1株当たり(予想)配当金 ÷ 株価 × 100
この式からも明らかなように、配当利回りは、配当金が増えるか株価が下がると高くなります。
なので、配当利回りが高く業績が安定している株は、株価が値下がりすると利回りも上がり買いたい人も増えてくるので下げ止まりを判断する指標になるのです。
まとめ
株式投資をする上で、その企業の業績を分析するファンダメンタルズ分析は必須のスキルと言えます。
ファンダメンタルズ分析では、決算書の分析と株価指標の分析の両方を学んでいきましょう。
株式投資を更に学びたい方は、以下の記事シリーズをご覧ください。







